線型代数2020授業日誌

今回はウィルス対応ということで、オンライン授業を4月17日(金)から執り行います。
各自、講義ノートを印刷し、 シラバスにしたがって学習していただきます。
質問等はメールで(メールアドレスはシラバスに書いてあります)、 回答はここ(授業日誌)で行います。
宿題の扱いは以下の通り(紙での提出は取り止め)とします。

  1. シラバスで指定された問題の解答レポートを割当て日以降に提出、 締切は翌週の火曜12:00
  2. 宿題の番号ごとに解答を pdf ファイル(ファイル名は学生番号-宿題月日)として作成し NUCT にて登録(upload)。
    ファイル名の例:学生番号が0201930421で4月24日の宿題であれば、0201930421-4-24.pdf
  3. 提出された宿題は、TA が点検の上、必要に応じてコメントを入れたものを、 解答例つきで次回授業日の12:00までに提供。
  4. レポート提出の有無は成績には一切関係しない。

宿題の解答ファイルについて補足しておきます。
写真経由で作成する際は、ファイルサイズが大きくならないように解像度を調整して下さい。
NUCT で使える教員当たりの容量が驚くほど小さいためです。
また pdf 形式のファイル指定は、コメントを追記しやすくするためです。
画像データを pdf に変換する方法ですが、そういったアプリがいろいろあります。
携帯端末をスキャナー代わりにできるアプリも。
印刷コマンドから出力先として pdf ファイルを選ぶという方法もあります(OS に依存)。
具体的な方法はここ を見てください。

学期途中の試験はオンラインで実施の予定です。シラバス記載の日時に概ね60分で行います。

追加資料です。7月24日に使います。

授業日誌は毎週更新していきます。古いのが表示されるようでしたら、再読込をしてみて下さい。

mathjax を使った数式表示がスマホではうまく行かないようです(調査中)。 できるだけパソコンかタブレットでご覧ください。多分、修正できたと思います。次がうまく表示されていればOk。 \[ \begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 2\\ 2\\ 4 \end{pmatrix} = 1\cdot 2 + 2 \cdot 2 + 3\cdot 4 = 18. \]


行列事始め

桜も末の八重もまぶたに重く、花曇り。

よもやこういうことをすることになろうとは。
造化の与え賜う啓示であろうか。
9年前もそうだったように変事は己を知る機会でもあり、
自ら頼むことの試練と鍛錬の背中合わせであるか。

まずは、テキストの1章から、行列事始め。
キーワード:matrix, row vector, column vector の説明ができるようしておきましょう。

来週から宿題の提出があります。ご注意下さい。

なお、3回の定時試験は、日時指定のオンライン試験として実施、宿題と同様の提出方法を予定しております。
解答を pdf ファイルとして作成する手順(紙のレポートを写真で写して pdf に変換、
あるいはワードなどで作成して pdf 保存する等)を予め確認・練習しておいてください。

参考書として挙げた Chen 先生の URL が変更になってました。 こちらからどうぞ。

最後に 須田先生のお言葉をお借りして。

直線と平面の幾何学

今年もまたひんやりと天白渓の藤の花。

今日は、座標空間の中の直線と平面の方程式です。テキストの2章を読解します。
テキストでは、座標の前段階として、位置ベクトルを説明し、その成分表示として座標を導入してみました。
これは歴史の順序と逆ではあるのですが、ベクトルの考え方というのが、それなりに高級ということでもあります。
高校以来、色々と経験があるでしょうから、ここも復習ついでで良しとします。
位置ベクトルあるいは物理でよく使われる変位ベクトルというのは、 結構新しい(といっても江戸後期)ものであることを指摘しておきます。
ベクトルは一方で内積と結びつけることで距離的情報(角度の情報を含む)を併せ持つもので、 そこから数量的な処理への道が開けてきます。
宿題等で練習しておいてください。
ということで、今週から宿題があります。提出手順は上の方に書いてあります。
今日の宿題の締切は、4月28日(火)12:00です。

例 2.1: (i) $L$ の表示式からパラメータ $t$ を消去すると、 \[ \frac{x-1}{3} = \frac{y-2}{2} = z-3 \] となる。これは2つの平面の共通部分として直線を表わしている。
$H$ の表示式 \[ x = 1 - s + t, \quad y = 1 + s - t, \quad z = -1 + s + t \] からパラメータ $s$, $t$ を消去する(例えば、後の2つの式を $s$, $t$ について解いて、それを最初の式に代入する)と、 $x+y = 2$ となる。これは $z$軸に平行な平面を表わしている。
(ii) はヒントだけ、$L$: 例えば $x=t$ をパラメータと思って、$L$ の式を $y$, $z$ について解く。
法線ベクトル $(\sqrt{2},-1,2)$ と直交するベクトル $(\alpha,\beta,\gamma)$ は、 $\sqrt{2}\alpha - \beta + 2\gamma = 0$ を満たすものなので、そのようなもの(で独立なもの)を2つ選び、 平面のパラメータ表示式に当てはめてみる。

計算練習は計算練習として、ここでは、口頭試問的なものを一つ。答えは本文2章の中にあるのだが、 それがどれだけ見えているかという質問。
座標とベクトルの成分表示の違いについて説明せよ。

NUCT の授業タブごとに、フォーラムという掲示板があります。受講生同志の情報交換にどうぞ。

Q:オンライン授業の受け方がわからないので教えてもらいたいです。
A: 基本は自習です。この授業日誌と宿題は、そのペースメーカーです。
質問等はできるだけ具体的に書いていただけると、より適切な回答を差し上げられるかと思います。

Q1: P1からPnは点ですか。あるいはベクトルですか。
Q2: t1からtnからの和が1の場合、 t1P1 + · · · + tnPnこの式はなぜ点になるか、和が0の場合、 なぜベクトルになるんですか。
A1: $P_1,\cdots, P_n$ は点です。ベクトルではありません。
A2: これは、$n=2,3$ で考えてみると良いでしょう。要は、どれかの $t$ を消去してみます。
$t_1 + t_2 + t_3 =1$ のとき、$t_3 = 1 - t_1 - t_2$ を使って書き直せば、 \[ t_1P_1 + t_2 P_2 + t_3 P_3 = P_3 + t_1(P_1-P_3) + t_2(P_2 - P_3) \] は、点 $P_3$ をベクトル $t_1\overrightarrow{P_3P_1} + t_2\overrightarrow{P_3P_2}$ により移動して得られる点を表わしているとわかります。
一方で、$t_1 + t_2 + t_3 = 0$ のときは、$t_3 = - t_1 - t_2$ となるので、 \[ t_1P_1 + t_2P_2 + t_3P_3 = t_1(P_1 - P_3) + t_2(P_2 - P_3) = t_1\overrightarrow{P_3P_1} + t_2\overrightarrow{P_3P_2} \] は、上で点の移動に使ったベクトルを表わします。
一般の場合も同様。

Q: テキストp9下から7行目の式に、w=(n\q-p0)とありますが、どうしてこのように表せるのですか。
A: 同じページの中ほどにある $q-p_0 = u\overrightarrow{l} + v\overrightarrow{m} + w\overrightarrow{n}$ を使うと、 \[ (\overrightarrow{n}|q-p_0) = (\overrightarrow{n}|u\overrightarrow{l} + v\overrightarrow{m} + w\overrightarrow{n}) = u(\overrightarrow{n}|\overrightarrow{l}) + v(\overrightarrow{n}|\overrightarrow{m}) + w(\overrightarrow{n}|\overrightarrow{n}) = w \] となるからです。

Q:「ユークリッド空間の作り方*15で、移動ベクトル全体 V を代数的構造を有するもの としてまず定式化し、 さらに内積の情報を付与したもの(内積空間とよばれる)を用意しておく。 その上で、 ユークリッド空間 (Euclidean space) とは、 内積空間のベクトルが平行移動を引き起こすような点の集まりで あるとする」 という部分が難しい言葉が多く読み込んでもわからないのでもうすこし噛み砕いた簡潔な説明をしていただければありがたいです。
A: これは、さらに調べる際のヒント(キーワード)のつもりで「簡潔に」書き入れたものです。 噛み砕くと説明は長くなりますし、それも結構な長さになります。 例えば、 これのように。

Q:問2.2.の凸結合全体は最小の凸集合である、とはどいういうことですか。凸集合そのものがまずわかりません。
A:凸集合の定義は、問題の最初に書いてあります。集合に含まれる二点の線分がまたその集合に含まれるということです。
凸図形、グラフが上に(下に)凸、あるいは凸レンズ、といった言葉遣いと同じです。 図については Wikipedia とかを見てください。
問題で問うているのは、凸結合全体が凸集合になるかということで、 幾何学的な直感が代数計算で確かめられるかということでもあります。
上の方の質問の答えにもあったように、$n=2,3,4$ の場合にどうなっているか調べてみることをお勧めします。
質問は、直接 e-mail でお願いします。NUCT のメッセージだと回答が遅くなるか見落とす可能性もあります。

Q: 問2.2はn=2,3,4の時の式をそれぞれ立ててみたのですが、 ここからどのように最小の凸集合であるかの判断をすれば良いのでしょうか。
A: ヒントは図形的な意味を汲み取るためにつけました。機械的な計算をするだけでは見えてこないと思います。
取り敢えず結果だけ書きます:$n=2$ のときは、$P_1$ と $P_2$ を結ぶ線分を、
$n=3$ のときは、3点 $P_1$, $P_2$, $P_3$ を頂点とする三角形内の点全体を、
$n=4$ のときは、4点 $P_1$, $P_2$, $P_3$, $P_4$ を頂点とする三角錐内の点全体を、
それぞれ表わします。ただし、立体的な広がりが平面的につぶれている場合も含みます。
平面内に4点を自由に選び、それの凸結合として表わされる点の作る図形をいくつか調べてみると良いでしょう。
最終的に認識すべきは、凸結合を取る操作が、線分内の点を取り出す操作のくり返しになっていて、 幾何学的操作と代数的な計算が丁度対応しているという事実です。

問の解答そのものは、次のように代数的に処理します。
上の具体的な場合を補う意味で、$n=3$ の場合の証明を書いてみます。
まず、三点 $P_1,P_2,P_3$ の凸結合全体を $C$ とすると、$C$ は凸集合になる。
これは、$C$ に含まれる2点 $a$, $b$ を \[ a = \sum_{j=1}^3 x_j P_j, \quad b = \sum_{j=1}^3 y_j P_j \] ($x_j \geq 0$, $y_j \geq 0$, $\sum x_j = \sum y_j = 1$) と表示するとき、 \[ ta + (1-t)b = \sum_{j=1}^3 (tx_j + (1-t)y_j) P_j, \quad 0 \leq t \leq 1 \] という表式で、$tx_j + (1-t)y_j \geq 0$ かつ \[ \sum_{j=1}^3 (tx_j + (1-t)y_j) = t + (1-t) = 1 \] となり、$ta + (1-t)b \in C$ が分かるからである。
逆に、3点 $P_1,P_2,P_3$ を含む凸集合 $D$ があるとき、 $P_1,P_2,P_3$ の凸結合で表わされる点 $a$ が $D$ に含まれることを示そう。
ここのところで、凸結合を線分による分点の組合せで記述する言い換えが行われる。
$x_1=x_2 = 0$ のときは $a = P_3$ であるから、当然 $a \in D$ である。
$x_1 + x_2 \not= 0$ のときは、 \[ a = (x_1+x_2) (\frac{x_1}{x_1+x_2}P_1 + \frac{x_2}{x_1+x_2} P_2) + x_3P_3 \] のように書き直して、 \[ Q = \frac{x_1}{x_1+x_2}P_1 + \frac{x_2}{x_1+x_2} P_2 \] が線分 $P_1P_2$ の内分点を表わすので、$Q \in C$ であり、
さらに $a = (1-x_3) Q + x_3 P_3$ が線分 $QP_3$ の内分点であることから、$a \in D$ がわかる。
以上により、$C \subset D$ であり、$C$ は $P_1,P_2,P_3$ を含む最小の凸集合であることが示された。

行列とその計算

穏やかな日の光がうらめしくも葉桜に眩しく。 人間の自粛は地球には優しくあるか、皮肉にも。

今日から5月、当分は続くかこの不自由さよ、ですが、いよいよ行列です。
「事始め」に目を通したあとでは、その計算規則に違和感は感じられないかと思いますが、 計算できるかどうかはまた別の話なので、しっかりと稽古を。
テキストには、そういう意味での計算に慣れる問題は載せていません。 自分で適当に作るか、そういったことが書いてあるテキスト(例えば、Chen 先生の)で練習してみます。
まずは、加減乗除を試します。行列の積を計算するときは、左横右縦と唱えます。
次に3つの行列の積の結合法則を練習します。 この結合法則の問題は $(AB)C$ と $A(BC)$ をそれぞれ計算して結果が一致するかどうか確かめます。
行列の積の特殊な場合として、正方行列のべきがあります。普通指摘されないことですが、 この場合も、$(AA)A = A(AA)$ であることは、行列の積の計算規則上、全然当たり前のことではありません。 式の代入のくり返しという意味がわかれば、その成り立つ理由も見えるようにはなるのですが。
なお、積の結合法則の代数計算による証明では、和の記号の正しい(というか一般的な)使い方を納得する必要があります。 通常の授業では、ここのところは横道に入ることに成るので省略してしまいますが、 読めばわかるはずのことなので、一度に理解できなくても、これを機会に今後慣れ親しんでいくことをお勧めします。
最後に、問 3.3 と問 3.6 が宿題なので、それをやってみます。 宿題の提出は任意ですが、pdf 化、upload の作業は一度は試してみてください。 そのうち行われるオンライン試験の際には必須となります。

先週の宿題の解答例はリソースにあります。ご利用ください。

Q:12ページの中段ぐらいに書いてある「単位行列とクロネッカーのデルタ記号」 のすぐ下に書いてあるδj,k= のところの意味がよく分かりません。 場合分けが必要ということでしょうか。
A:はい、場合分けで値を決めております。添字(ラベル)の $j$ と $k$ が等しいときは、$1$ という数を、 異なる場合は、$0$ を表わします。具体的に、$n=3$ であれば、 \[ I_3 = \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0\\ 0 & 1 & 0\\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \] という形の行列が3次の単位行列で、これの各成分がクロネッカーのデルタ記号で表わされています。

動画が見たいということであれば、これも色々ある中で、 線形代数入門 を挙げておきます。世間ではこれを yobinori というらしい。黒板の「カタカタ」書きといい、面白いですねえ。 今後も折りに触れてそういったものも紹介してみたいと思います。

行列あれこれ

季節は前へ後ろへ、白ヤシオも遥かに薄くけむりて。

行列は、数が並んだだけと言えばそれまでですが、実際には様々な意味を伴って現れます。
今日はそういった行列の意味と計算の規則(とくに冪)が結び付けられる例を二つ程見ていただきます。

最初の例は、連立の漸化式の行列による表示であり、数列ならぬベクトル列(ここの列は行列の列ではなく、 英語で sequence と呼ばれるもの)の間の関係式が、正方行列による積として、 あたかも等比数列のような形で表わされる点に注目します。
そうすると、等比数列の一般項を書き下すのと同じ要領で、 連立漸化式の一般項が、行列の冪乗を計算するという問題に還元されることを実感していただきます。
これは、漸化式が解けたというよりは、 漸化式を解くことと行列の冪を求めることが同じ内用である、 言い換えになっているという事実を確かめただけですが、
一方でまた(正方)行列の冪を求める理由の一つが見つかった、 とお考え下さい。
その計算のための具体的な方法については、この授業の後の方で出てきます。

次の例は、ネットワーク(点を線で結んだ情報)を正方行列で表示するというもので、 まさにネット社会における行列の重要性を端的に表わすものとなっています。
この場合の行列の$n$乗の意味ですが、点と線を、都市間の道路網と見た時に、 $n$ 回の移動をくり返したときに、2点間を結ぶ移動経路が何通り考えられるか、 という場合の数を表わします。
宿題の問では、3点間の道路網(?)を表わしているので、 $n=2$, $n=3$ の場合の数を具体的に求め、それと行列の2乗、3乗を計算した結果を比べてみて下さい。
場合の数を計算する際の積と和の法則(場合分け)が、 行列の積の計算に丁度対応することが納得できれば成功です。
すぐにその仕組みが見えなくても、何度でも試みていただければと思います。
大事なことは覚えて計算することではなく、計算してその意味を知ることです。

ということで、初めての人には、challenging かも知れませんが、 宿題に挑戦していただきます。
完答できなくても、その痕跡で良いので書き留めてご提出下さい。

来週は、1回目のオンライン試験です。
その予行演習の意味からも、まだ宿題を出したことがない人は是非提出してみてください。
試験で慌てないように。
試験範囲は、初回を除く3回分から2問の出題です。 宿題とテキストの例を復習しておいて下さい。

行列の分割計算は、そういったもの(見方)がある、といった程度で取り敢えず結構です。
これも必要になったら、必要になった範囲で復習していきます。

試験1

知らぬ間の田植えにホトトギスも喧しく。

今日は、予定通り1回目の オンライン試験。 相変わらず、NUCT のサポート窓口は機能しているのかどうか。 トラブルなきを祈るのみ。
試験後の情報についても後でここに追記する予定です。

[試験の講評] 通常この程度の試験は40分で行います。今回は諸々のことを考えて、プラス20分。
その中には、ファイルを変換しアップロードする時間も見込んでいたのですが、 ギリギリまで問題を解いて制限時間内に処理が終わらなかった人、数名。
まあ、自己判断というのは難しいものではあります。自由度の高さと引き換えに。
全体によく出来ていたと思います。1問につき2点満点です。
あと、見た目が同じ答案も少数ながら目につきました。 これはせっかくの、自身の状態を知る機会を失う行為であり、なおかつ答案が残っているので、 それが物的証拠になるということに思いを馳せるべきで、危険極まりなしと知るべきです。
形式に関することではありますが、ファイルサイズの大きさに無頓着な人が多かった。 あと、pdf ファイルに変換するところを、jpgなどの画像ファイルの名前だけ変えた人も散見されました。 心当たりのある方は、ご注意ください。

NUCTの課題欄で今回の試験の成績の確認を。解答例を上げておきましたので、あわせてご参考下さい。 (必要な人は言われなくても復習を!)

Q: NUCTの課題の試験1の点数欄では(最大6.00)との表示があったのですが、 今回の試験の満点は4点ですか?6点ですか?
A: シラバスにもあるように2問で4点満点ですが、とりわけ良い答案があれば3点つけることもあり、 それを考慮してシステム上2問で6点までつけられるようにしてあります。
なお、課題ごとに合計点しか受け付けてもらえないため、問題ごとの点数をどう開示するか思案中です。

行列式とその計算

今朝はひんやりと桑の実もはや。
大変なときだからこそ本当の自分が見える、かも知れない。

ということで、今日から行列式です。4章と5章、量は多めです。 昔は、この程度量を4月からガンガン行う授業もごく普通でした。 今回はそれも味わっていただきます。
まず全部文字の連立一次方程式を解いていただきます。
分母が零かどうかは気にしなくてよろしい、とりあえず。
解の公式の形に注目します。似た式が塊で現れることに気がつくはずです。
その中の分母に共通して現れる式が行列式と呼ばれるものです。
英語だと determinant (決定式)。連立一次方程式の解のあるなしを「決定する」ことに由来します。
日本語の「行列式」は、(正方)行列の成分を使って作った式、くらいの意味でしょうか。
この行列式は、いくつかの面白い性質をもっているというのが、最初に学ぶべきことです。
諸々のことを考えて、ここでは、列についての性質にまず注目します。
(i) 線型性と (ii) 交代性です。
2次行列式の段階でこれをしっかりと認識します。
これを土台に、3変数の連立一次方程式を解いて3次行列式を導入し、線型性と交代性を確かめます。
その後、連立一次方程式は取り敢えず抜きにして、4次の行列式を1行に関する展開式の形で導入し、 同じく線型性と交代性を確かめます。
ここまでくれば、一般の場合の行列式の定義とその性質が見えてくるはずで、 正式な帰納法とか言わずとも、自由に使ったり計算練習すべきです。
そのためにはもう一つ、縦と横を入れ替えた性質と特定の行あるいは列に関する展開式も押さえておきましょう。 (これについては、次回に改めて学び直します。)
具体的な計算方法については、例えば MIT 18.06SC Linear Algebra をご覧ください。他にも determinant とか行列式で検索すればいろいろ見つかります。

Q: 講義ノートの16ページに書いてある「線形性」についてどうしても理解しきれない。 同ページ上段に書いてある,「解の公式は~のようになる」とありますが,そう定義したということでしょうか.
A: 今の場合、ベクトルに依存して決まる量が、ベクトルを定数倍するとその決まる量も定数倍され、 ベクトルが2つのベクトルの和で書かれているとき、それから決まる量も和に分かれる、という性質を 広く線型性といいます。
工学方面では、線型応答という言い方もします。
数学的には一次式で表されるという性質です。
ベクトルの内積で説明すると、 \[ (\overrightarrow{a}+\overrightarrow{b})\cdot \overrightarrow{c} = \overrightarrow{a}\cdot \overrightarrow{c} + \overrightarrow{b}\cdot \overrightarrow{c}, \quad (\lambda \overrightarrow{a})\cdot \overrightarrow{c} = \lambda(\overrightarrow{a}\cdot \overrightarrow{c}) \] といった性質です。
内積の場合、右側のベクトルについても線型性が成り立つので、ある種の「分配法則」とも言えます。
行列式の場合には、これがどの列ベクトル(あるいは行ベクトル)についても成り立つということです。 (多重線型性といいます。)
A: 解の公式は定義ではありません。導くものです。テキストには導いた結果が書いてあります。 上の方でも説明したように、自ら確かめます。他を探したり、覚えるのはご法度です。 ブラックボックスで、取り敢えず答えが出ればいいや、というのは極めて危険です。

今週の宿題の解答に関連した補足を書いておきます。
座標平面内の三点 $P_i(a_i,b_i)$ ($i=1,,2,3$) について、 $P_1$, $P_2$, $P_3$ が同一直線上にあることと \[ \begin{vmatrix} a_1 & b_1 & 1\\ a_2 & b_2 & 1\\ a_3 & b_3 & 1 \end{vmatrix} = 0 \] が同値になります。というのは、 \[ \begin{vmatrix} a_1 & b_1 & 1\\ a_2 & b_2 & 1\\ a_3 & b_3 & 1 \end{vmatrix} = \begin{vmatrix} a_1 & b_1 & 1\\ a_2-a_1 & b_2-b_1 & 0\\ a_3-a_1 & b_3-b_1 & 0 \end{vmatrix} = \begin{vmatrix} a_2-a_1 & b_2-b_1\\ a_3-a_1 & b_3-b_1 \end{vmatrix} = (a_2-a_1)(b_3-b_1) - (a_3-a_1)(b_2-b_1) \] という表示から、左辺の行列式が $0$ となることと、 ベクトル$\overrightarrow{P_2P_1}$ とベクトル $\overrightarrow{P_3P_1}$ が平行であることが同値になるから。
$0$ 成分が現れる際の場合分けを無視すれば、 直線$P_2P_1$ の傾き= $(b_2-b_1)/(a_2-a_1) = (b_3 - b_1)/(a_3-a_1)$ =直線 $P_3P_1$ の傾き、ということです。

行列式の特徴付け

草木もむせ返る程光みちて、紫陽花もそぞろに。

先週は、曜日切り替えの中休みでした。
今日は行列式に関する理論的な確認を行います。
まずは、行列式の帰納的定義と性質を復習します。
列ベクトルに関する線型性と交代性(と規格化条件)、あと一行に関する展開式(帰納的定義式)です。
目標は、行ベクトルについての性質と転置を取っても行列式の値が変化しないこと、 それと勝手な行あるいは列についての展開式です。
この前提部分と目標部分を明確に意識することが大事な点で、問題を解く上での定石です。
何から手を付けていいかわからない、という人は、この認識ができていないことが大半だったりします。
さて、目標に至る道筋ですが、 列ベクトルについての性質が行列式を完全に決定すること。 そのために、並べ替え(置換ともいう)の符号を行列式を使って導入し、 行列式の完全展開式をまず導きます。
テキストでは一般のサイズの場合を書きましたが、2次あるいは3次の場合をまずは確かめてみます。
次に、この特徴付けを利用して、行列式の行についての性質を証明していきます。 ここでも一般のサイズではなく2次あるいは3次の場合を確かめます。
一般のサイズについての確認は、余裕があればで結構です。

多くの教科書では、完全展開式が行列式の定義として採用されています。 テキストのように帰納的に定義するのは少数派なのでご注意下さい。
完全展開式が流行る理由は、置換の符号というものと一気に展開式書き下すやり方が数学者好みであるためでしょうか。
どちらから始めても結局は同じものにはたどり着くのですが、帰納的方法と演繹的方法が可能な場合は、 仮に手間がかかろうとも帰納的方法を普通の人には薦めます。

Q: 定理6.3についてで、行列でいう関数というものf(a1,a2...an)の意味が何度か考えてみたのですがわかりません。 例えば、f=2A (Aは行列)のようなものとして考えればいいのでしょうか?できたら定理6.3.の簡単な例を教えていただきたいです。
A: 行列の $n^2$ 個の成分、同じことですが列ベクトルに現れるすべての成分の式(この場合は多項式)という意味です。
簡単な例ということであれば、2次か3次の正方行列です。2次の場合並替えがもとのままも含めて2つしかないので、 感じがつかめないかも知れません。3次の並べ替えは6通りあるので、それのどれでも良いので、 定理6.3の左辺と右辺を書いてみて比較するというのが一つの方法です。それぞれに、展開項が $3\times 3=9$ 通りでてきて、 そのうちの6項は交代性により零になります。 是非書いてみてください。2次の場合の計算でもよいでしょう。

Q: 基本ベクトルというものは1つの列に対して1がどこか1つある列ベクトルという定義でよろしいでしょうか?
A: はい、正確にはどこか一箇所だけ $1$ で残りが $0$ という成分をもつベクトルです。

Q: p21の系6,4のΣ記号の下にσがついてる記号(完全展開について)が出てくると意味がつかめなくなってくるのですが、 これはどのようなものなのでしょうか?
A: これについてはテキスト p.12 の上の方をご覧いただきたいと思います。
そこの脚注に書いてある通り、私も初めて接したときは茫然としたものでした。 $\sum_\sigma$ の意味は、考えられる並べかえすべてについて和を取るというもので、 この場合、並替えの方法は順列の数だけあるので、$n!$ だけの項の和が現れます。
高校までだと和は順番に取るという意識が強すぎると、この記号の正しい意味・使い方の妨げとなります。
条件を満たすもの全てを加える(加える順番は気にしない)というのが、本来の $\sum$ 記号の使い方です。
例えば $\sum_{1\leq k \leq 50, ただしk は素数}$ と書けば、 $k=2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47$ に対応する項だけを足し上げるといった具合。

行列式あれこれ

梅雨入り3日目、はや桜桃も供え、荒々しくも気になるは安城のとうもろこし。

今日は、行列式の3回目、前2回で遅れを取った人は取り戻す機会でもあります。
理屈よりも形から、それも具体的なものからです。手を動かし、計算方法を身につけます。
2次・3次、そして4次まで稽古します。2次は覚えます。3次も覚えようとする人がいるでしょうが、 勧めません。覚えてしまっては、行列式の計算規則を練習するせっかくの機会を失うからです。
4次以上に使えるのは、この行列式の性質に基づく計算でもあり。

新たな話題として重要なのが、行列式の幾何学的意味です。
これについては、2次・3次の場合を知っていただきます。3次元のベクトル積もついでにどうぞ。
微積分の方で、重積分の変数変換を行う際にも必要になります。
この幾何学的意味から、次のようなことが直感的に理解できるようになります。 \[ \det(\overrightarrow{a},\overrightarrow{b},\overrightarrow{c}) = 0 \iff \text{ベクトル $\overrightarrow{a}$, $\overrightarrow{b}$, $\overrightarrow{c}$ が同一平面上にある。} \]
ビデオを探して見たところ、計算練習(例えば下)は沢山見つかるものの、 行列式の性質と図形の移動を結びつけた説明がなかなか見つからない。
(テキストには、そういった何処にでも書いてありそうで、 しかし何処にも書いていない長年のあれこれが詰まっているのだが、まあ見えぬとしたものである。 「本当に大切なものは目には見えない」ということでもある。)
ベクトル積(外積)と結びつけた解説はあるものの、 あまりにも3次元にコミットしたものは、本質から目をそらすことになるので避けたい気分。
良いのを見つけたら URL をご一報ください。
Determinants and VolumeDeterminant

余裕があったら、並べ替えの符号を使って、15パズルの問題を考えてみてください。
こちらは、ぴったりの解説ビデオが Linear Algebra 108, 15 Puzzle にありました。

次回は2回目のオンライン試験です。とくに授業日誌で説明したことと宿題を中心に準備しておいてください。

質問があったわけではなのですが、ビデオが見当たらない件について、追記しておきます。 線型代数のビデオとしては、 MIT のStrang先生がとても有名ですが、行列式の幾何学的意味が出てくるのは、 Lecture 20: Cramer's rule, inverse matrix, and volume の後半部分です。
ただ、説明が明快かと言えば、濁った印象をもちます。行列式の絶対値が体積だ、というのはその通りですが、 行列式との関係で言えば、テキストにあるように、行列式が符号つき体積を表わす、というのが適切かと思います。
右手系・左手系もついでに学べますし、符号も込みで処理した方が良いでしょう。
2次の行列式が平行四辺形の面積であることの理由として、行列式の性質と同じものが平行四辺形の面積でも成り立つことを、 ビデオでは挙げかけたようですが、このことは手書きの図だと苦しく、かつ正しい線形性は符号付きでないと成り立たない、 ということもあり、賢明にも途中で止めたように見えるのですが、どうでしょうか。
一流を知ることは良いことです。素直に感動できるかも知れないし、時には、 何だこの程度なら自分にもできる、という自信(慢心?)にもつながるので。 そのためには、普段から自分の頭で(人の言うことではなく)あれこれ悩みやってみることが・・・。

Q: 17ページの3行目に3次行列を~で定義すると書いてあるのですがなぜそうなるのでしょうか。 また、その次の行の「そうすると、上で求めた解の公式は~のようになる」というのもなぜそうなるのか分かりません。
A: 少し前の内容ですが、ここで答えておきます。
行列式を導入する際の理由付けとして、連立一次方程式の解の公式をここでは利用しています。
ただ、解の公式が多項式/多項式の形なので、分子分母の取り方に不定性があるのですが、 とりあえず定数の違いは置いておいて、分母に相当する式を3次行列式の定義としたのが、質問の箇所です。
なぜ、そうなるというよりも、そのように定めるのがもっともらしいと、ここでは理解します。
数学といえども全てが必然ということはまったくなく、取り敢えずこうしてみようかというのが多々あります。
結果的に、符号その他諸々の整合性から、テキストで与えたものが具合が良く、今日でいうところの行列式合致しております。
後半部分は、一旦、3次行列式をこのように定めると、解の公式の分子の部分が再び行列式の形になっていることを、 「これこれのようになる」と書きました。
もう少し具体的に言えば、分母の行列式で、 $\overrightarrow{a}$ の部分を $\overrightarrow{t}$に置き換えた式を書き下してみてください。
そうすると、丁度、右辺(分子の部分)の式が出てきます。
もう一息の感じがしますので、引き続き、あれこれ試行錯誤して見られますよう。
こういった、ことが自分で解きほぐせるようになると、一段階高いレベルに達します。是非。

試験2

前線が下がり、ひんやりと雨、紫陽花もいよいよ鮮やかに。

今日は、2回目のオンライン試験です。
NUCT からどうぞ。15:00−16:00に実施。

[試験の講評] 相変わらず巨大なサイズのファイルを提出する人があとを絶ちません。1ファイルで500KBを越えたら 減点対象にするとかを考えてしまいます。
$\fbox{1}$ は計算結果+途中で点数を付けてあります。単なる計算も大事ということで。
$\fbox{2}$ は、絶対値のつけ忘れが目に付きました。心当たりの方は、右手系・左手系と併せてもう一度復習を。

連立一次方程式

梅雨前線がいよいよ不安定に、邪悪な暑さの季節に、アガパンサスの青に救われつつ。

何年か前の授業日誌そのままに、今日から後半戦、気分も新たに連立一次方程式です。
加減法を系統立てたものが、掃き出し法です。
最初は、何だこんなものと思われるかも知れませんが(実際、昔、そう思いました)、これが強力極まりなく、 行列代数の多くの結果がこれから導かれます。できるだけ多くの具体例で経験を積んでください。
頭だけでわかった気になってはいけません。

最初に定数項が $0$ の連立一次方程式を解きます。
定数項がないので、すべての未知数を $0$ とおけば、それが解なので、解くまでもないと思ってはいけません。
$0$ 以外の解があるかどうか、あればどれだけあるか、が問題となります。
簡単なことを徹底してやる、これがポイントです。
そのために、解すべての集団に解空間という名前を付けておきます。
テキストで $S$ と書いたのは、solution の S のつもり。
ここで、ベクトルの集団を扱う上でのキーワード「一次結合」を学びます。
次に連立一次方程式の解法である「加減法」における手順を行列対する操作として認識しなおします。
あとは、この操作(行基本変形)を行って、係数行列を簡単にしていけば良いのですが、 ただ闇雲にやると、収拾がつかなくなります。
そこで、どういう形に持っていくかのゴールを認識します。これが階段行列。
ここまで、来れば、あとは簡単なアルゴリズムで左から右への掃き出し操作に慣れていただきます。 一旦、階段行列が求まれば、解の一般形を表示するのはあっという間です。
その際に、解くべき変数とパラメータとして残す変数の見分け方を学びます。 また、これに関連した階数(ランク)という用語も。
解の具体的な表示を行うとすぐにわかることですが、 解は、 パラメータ変数を係数とした具体的なベクトルたちの一次結合で表示されます。
これに関連して、ベクトルの集団が一次独立である、という考え方と解空間の基底という概念を押えておきます。
以上を、具体例を通じて稽古します。 ビデオだと これとかその続き。(ただし、用語とか説明の仕方がテキストと少し異なる。)

最後に、定数項が零でない場合の連立一次方程式を解くことにどう使うかを知って、 今回はおしまいです。
多少の慣れは必要であっても、時間をかければ確実にマスターできますし、マスターしていただかないとこの先々、 困ったことになります。
具体的な手順に不安があったら、例えば このビデオでも見てください。他にも沢山似たようなものが見つかります。

先週の試験結果が出ましたので確認しておいてください。

Q: 階段化とは1行下がるごとに左側の0が増えていくことだと思うのですが 問7.1では1行下がっても0の数が変化しないものも含まれています。なぜでしょうか。
A: テキストで「階段行列とは、左下に $0$ がならび、 上から一段ずつ零でない行成分が減っていく形のものをいう。」 と書いてあるところですが、次の文を補っておいてください。 (すべての行成分が零になったら、それ以降の行は零ベクトルが続く。)
ついでながら、問7.2の意味がわからないという指摘をTAから受けたので、次の文に差し替えておいてください。
次の4次行ベクトルの一次結合を二種類用意し、それを縦に並べることで、2行4列の行列を作り、計算練習を行う。

掃き出し定理

梅雨空もどり、今年はいずこで暴力的ならん。 半夏のつるもからまり。

先週に続き、掃き出し法です。
今この瞬間もものすごい数の掃き出し計算がコンピュータにより行われ、 社会の下支えをしています。
その仕組みを実感し、実体を理解するのが目標。
復習も兼ねて横長の行列を使って是非もう一度。
斉次型方程式の一般解の表示=パラメータを係数とするベクトルの一次結合。
掃き出し計算で得られる一次結合の対象になる解ベクトルは、独立な方向を向いていることを認識。
ついでに、ベクトルの集団が「一次独立」あるいは「一次従属」の意味を、幾何学的な直感と併せて理解します。
3つのベクトルでしたら、同一平面上にないということで、3次元的な関係にあるということ。
これが、3以外でも意味を持つということ。一次独立性の代数的表現は、そういう内容になっています。

以上の具体的な計算に潜む理論的ないくつかの性質を取り出したのが、補題7.7であり、掃き出し定理7.8です。
どういう感覚の内容であるかを、自分なりの理解でよいので試みます。
証明は、その理解するための手がかりとなりますが、証明をなぞるだけでは不十分です。

最後に、斉次型でない場合の方程式も解いて終了です。

宿題の問7.5、7.6 もお忘れなく。

早いもので、来週は3回目のオンライン試験、油断禁物、手を動かせ、説明することも忘れずに。

Q: pdfの27ページの3行目から7行目の内容がよく理解できませんでした。 tとvベクトルを掛け合わせたものが解を表すということでしょうか。
A: はい、解を表わすということです。

Q: d=n-rank(A)というのが何故そうなるのかも教えていただきたいです。
A: これは階段行列の段に該当する成分(変数)が $r$ 個あり、 残りの $d = n - r$ 個の変数がパラメータとして取れることによります。
もともとあった $n$ 個の変数のうち、$r$ 個の変数について連立一次方程式を解くことが出来て、残りの $n-r$ 個の 変数は勝手に選べるのでパラメータとして文字のまま残す、ということです。

以上の質問に関連した部分(とくに例)を手直ししておきました。講義ノート(テキスト)を再表示させるなどしてみてください。

試験3

前線は上下に揺れ動き、人は翻弄され、蝸牛は何を思う。
毎年どこかで繰り返される災害、根本的な対応もないまま、指示しましたで済ます厚かましさ。

今日は試験3です。 いつものように NUCT の課題欄からどうぞ。 オンラインの授業アンケートも実施中?

[試験の講評] 掃き出し計算はほぼ全員ができていたように思います。説明問題は、何かを書き写したようなものが多く、残念。 不正確でもよいので自分の言葉で書いて欲しかった。
$\fbox{1}$ (ii) の説明が幾何学的(図形的意味)でない人が結構な数に。
$\fbox{2}$ (ii) 一組の意味を取り違えて、一組の中の一つとする者後絶たず。

逆行列と基底

長引く梅雨空にもセミは季節を忘れずに、天の声。

今日は、いよいよ「行列代数の基本定理」です。
行列式と「掃き出し定理」が、逆行列を接点に一つにまとまります。
これは、即座に次回の固有ベクトル(追加資料があります、このページの上の方を見て下さい)へと繋がります。

ということで、8節(p.30--p.32)をしていただきます。
まずは逆行列が何かを認識します。逆行列がわかれば連立一次方程式が即座に解けますが、 逆にいうと、逆行列を求めるということは連立一次方程式を解くことでもあります。
まずは、逆行列の計算規則を認識します。行列の積は交換法則が成り立たず、 それが逆行列の関係式にも反映されます。
つでに(正方)行列のべきの復習をして、逆行列をつかった負べきとその指数法則も確認します。
逆行列の実際の計算は掃き出し法を使いますが、 掃き出し計算の仕組みと関連した特殊な逆行列(基本行列)にも慣れていただきます。
次に、逆行列と行列式の関係を学びます。
逆行列があれば行列式の値は $0$ になりません。
行列式の値が $0$ になる行列というものはそれなりに沢山あるので、逆行列を持たない行列というのもいろいろある ことになります。
実は、行列の掃き出し計算を使って逆行列の有無を調べると、 逆行列をもつことと行列式の値が $0$ でないことが同値であるとわかります。
他に関連した言い換えとして、一次独立性と階数による性質があり、 それをまとめたのが「行列代数の基本定理」となります。
最後に問8.4と問8.5で今日の仕上げとします。 (掃き出し法による逆行列の計算はしなくてよい。)

3回目の試験結果を開示しました。確認しておいてください。

固有値と固有ベクトル

閏月のせいなのか、今日も雨もようなれど紫陽花はもはや無残な姿に。

とうとう、相も見ず、最後を迎えるか。
正しく怖がる理性のかけらもなく、「保身」、これのみであるか。
こういう非常時にこそ本質が暴かれるという。

今日は一応補講日のつもりで、前期最後のテーマである固有値と固有ベクトルです。
この日誌の上部にある追加資料にしたがって学習します。
これは、2次行列の場合を具体的に計算するものですが、 練習のためには、3次行列までやってみます。
テキストの例10.9とその問からどうぞ。対角化の問題という体裁を取っていますが、 固有値・固有ベクトルを求める練習にも使えます。
なお、行列式・連立一次方程式は自分で適当に問題を作っても解けますが、 固有値はそれをやるとすぐに解けない問題に出くわすのでご注意ください。
例10.9は、解ける問題をどうやって作るのかの手の内を明かしたものでもあります。
計算ビデオは、 鏡文字の達人でもご覧ください。あるいは、楽しんでください。漢字は難しそう。

来週はいよいよ4回目のオンライン試験です。
範囲は先週と今週の2回分なので、是非復習を。
その後に、最終レポート試験がありますが、これについては日を改めて。

試験4

まだ不安定ながら梅雨はあけつつあるか、行き倒れのセミも、すべてが異常な日常というべく。

本日は、期末試験相当その1,4回目のオンライン試験です。 いつものように NUCT からどうぞ。 NUCT のお知らせにも注意。

期末試験その2のレポート試験ですが、いまのところ、 8月3日に問題公開、提出締切は8月7日16:00(のりしろ無し!)、の予定です。 なお、8月7日は不在です(そのために、オンライン試験ではなくレポート試験にしました)。 何かあっても対応できかねるので、ご注意ください。

[講評]
$\fbox{1}$ (i), (ii) は (iii) のヒントのつもりでしたが、別途計算している人が結構な数に。
$\fbox{2}$ (i) は問いかけを無視して固有方程式を計算するもの多し。 予想通り (ii) の出来は良くなく、(iii) までたどり着くもの少し。

試験5

台風くずれの前線が不安定な要因に、それでも季節は進みつつ、百日紅。

今日は最後のレポート試験でした。

[試験の講評]
$\fbox{1}$ 左手系・右手系の定義に言及しない人が極めて多し。授業では触れていませんが座標変換に言及して欲しかった。
$\fbox{2}$ 意外とできていたように思います。詳しくは後期にやりますが、それの予習にはなったでしょうか。

異常な状況下での学習には様々な不都合がありますが、どうやら後期もこれを続けるようです。 冷静に怖がる、というようになれば良いのですが。
それはそれとして、仏の顔も3度、天網恢恢であるか。

それでは、夏の夜のはかなき夢を、しばし。


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